山陰の歴史と自然

2008年7月18日 (金)

梨の神社

Dsc04576 鳥取市湖山町東五丁目にある「木乃実神社」は二十世紀梨の原木を御神体として祀っている全国的にも珍しい神社です。全国でも有名な「鳥取の梨」は県を代表する果樹産業に発展し「二十世紀梨」の収穫量は年間23,000トンにも達し日本一を誇ります。

Dsc04317_2 二十世紀梨の原種は明治21年に、千葉県松戸市で当時13歳の松戸各之助という少年により偶然発見された。明治37年に鳥取市桂見の北脇永治が苗木10本を購入して県内に普及したもので、このうち現在でも3本が親木として現存しています。

Dsc04300 皮が薄く果汁の多いこの梨は、在来のものに比べ黒斑病(こくはんびょう)に罹りやすく栽培が非常に難しかったそうです。鳥取県は黒斑病防除の研究を重ねて栽培面積を増やし日本一の二十世紀梨産地を築き上げました。

毎年夏の高校野球甲子園大会の頃になると地Dsc04313方ニュースは決まって、今年の梨の作具合はどうだとかいって大きく報じられます。中でも「糖度」がいくらいくらで非常に良い出来だ、などと関心が高まりJA各所の品評会が県民行事のようになっています。

時に、「甘い果物を食べると太る」とか、「甘い果物に改良する時代ではない」とかの声を耳にします。果物の甘さは果糖が殆んどですから、脂肪と糖類でカロリーを構成しているケーキ等とは違います。

食育啓発協議会」の発刊する冊子によれば、果物はミカン1個46㌔カロリーリンゴ半分54㌔カロリー柿1個60㌔カロリー梨半分43㌔カロリーブドウ半房59㌔カロリー桃1個40㌔カロリーだそうだ。それに対して同じ100gのショートケーキは260㌔カロリーメロンパンは383㌔カロリーなんですと。満腹の食後にたくさん食べるのは、控えるべきであるが、果物の甘さおそるるに足らずだ。

果物は抗酸化物質も多く含んでいて「甘い果物の食べ過ぎで太る」などと言うことはまずないでしょう。同協議会では「毎日くだもの200グラム運動」を推進しているそうだが、甘くて美味しくて安全な果物を、たくさん食べ健康に暮らしたいものです。

友人の栽培する「果樹園」によって見ました。いまのところ順調に生育し、豊作が期待出来そうだと言うことです。八月下旬頃から瑞々しくて美味しい二十世紀梨の収穫が始まります。

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2008年7月12日 (土)

日本一大きな池

湖山池(こやまいけ)

所 在 地 : 鳥取市
池の面積 : 6.8平方km
最大水深 : 7.5m

Dsc04553 JA鳥取駅から西へ向けて約10Km、日本海に出てきたかと思えるほどの大きな池がある。「湖」と言ってもよいのだが、池と名がついている。湖と池と沼の呼称の定義が定かでないからなのか。池の周囲は16Kmにもわたり、と名がついたものでは日本一の面積を誇る。隣接する日本海と水路でつながっている汽水湖である。春には湖面に霞がかかることから「霞湖(かすみこ)」ともよばれている。大古の昔は、日本海の一部で砂の堆積によってできた「潟湖(せきこ)」であったと推測されています。湖畔には鳥取大学のキャンパスや付属高、県立高校、スポーツ広場、自然公園などがあり、市街地からは少し離れたとても環境のよい、ちょっとした学園都市の風情があります。

428この池には湖山長者伝説」なる言い伝えがある。その昔、池の一帯は美しい田園が広がり「赤坂の長者」の所有地で田植え時期になると大勢の人を雇って田植えをしていました。ある年、日の沈むまでにすべての田植えを終えられないと思った長者は家宝の黄金の扇子「まだ沈むなまだ沈むな。」と言って夕日をあおいで追いもどし、無理やり夕暮れまでに田植えを終わらせた。翌日の朝、田植を終えた水田を見た長者は、腰を抜かさんばかりに仰天した。一夜にして美田が水を満々とたたえた湖水と化していたのです。

自然の営みを自分の都合よく操作し、神の怒りに触れた罰なのです。この言い伝えの教訓は、今の世界を象徴しているかの様に思えてなりませんな。

449中古三十六歌仙の一人で平安時代を代表する王朝歌人「泉式部」さんがふるさとの湖山池を偲んで詠んだ歌が残されている。

『 春くれば 花の都を 見てもなを 霞の里に 心をぞやる 

恋多きすぐれた歌人が、華やかな都で暮らしていても自然豊かな田舎のしっとりした情景を忘れることはなかったのですねえ。この方の有名な「和泉式部日記」は古今女流作家の最高傑作とも言われ紫式部と並び称される。今ならとりわけ日記ブログの女王と言うところかな。さらに紹介すると「紫式部日記」には和泉式部さんを評したくだりがある。「泉式部という人こそ、面白う書き交わしける」といっておられますな。

今、汚染の進む湖山池の周辺を浄化する運動が行われています。生物や自然の景観を守り、湖山池を取り巻く豊かな自然環境を回復させる事は鳥取市民の願いであり、ひいては地球温暖化防止に少しでも貢献する意思表示の大切なアクションでもあります。

471今日はとてもいい天気で、「初夏は夕暮れ、池に夕陽の沈むなど、いとをかし」い風情でありましたな。

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2008年5月31日 (土)

日本最古の恋物語

「日本最古の恋物語」序章の舞台となる白兎海岸。

Dsc03942 白うさぎがワニザメの並んだ背をとびはねながら於岐ノ島からたどりついたとされる気多ノ岬が見えます。大国主命(おおくにぬしのみこと)と異母兄弟の神々の一行が、因幡国八上郷(現在の鳥取市河原町八上地区)に住む八上姫と言う神代に稀なる美しい姫に求婚するため、気多ノ海辺(今の白兎海岸)を通りすがった。ワニザメを欺き皮をむかれれた白うさぎに「塩水で洗えば良よい」と意地 悪なアドバイスを与え、苦しむ白うさぎを残して行き過ぎる義兄の神々たち。彼らの荷物を持たされ大きな袋を肩に担いで遅れて通りすがった心優しい大国主命は、真水で体を洗ってやり、「蒲の穂わた」にくるんでやって傷も癒え、もとの白うさぎになりました。白うさぎは「八上姫の心を射止められるのは、あなた様でしょう」と。白うさぎの予言通り、苦難のすえ大国主命は八上姫と結ばれ二人の子宝にめぐまれる。

Dsc03966国道9号線沿いにある白兎海岸の真向かい、大きな石造りの鳥居をくぐり石段の参道を登ると、白うさぎが祀られ縁結びの神様としてよく知られる白兎神社があります。境内は樹木に覆われ国道わきにあると思えぬほどの静かな佇まいです。駐車場わきに「道の駅・神話の里白うさぎ」の古代風にデザインされた鉄筋コンクリートの大きな建物がある。ここの売店で「白兎起請文」と言う「恋愛成就の札」を売っている、この請文札3枚に誓い合う互いの名と願い事をかいて一枚づつはそれぞれが大切に持ち、残りの一枚を神社に奉納します。されば大国主命と八上姫の如く、必ずやよき良縁となりおふたりは、結ばれるでありましょう。

古事記に記述されている大国主命と八上姫の神話の時代のロマンス、地名に因んだ伝承などまた次回紹介します。

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